なかなか進路が決まらない!高校生の親はどんなサポートができるの?
高校生は、学年が上がるに従って文系・理系やコースといった進路選択につながる決定が必要になります。進路について考えないわけにはいかず、高校生にとっては悩みの種になりがちです。子どもが進路で悩んでいる場合、保護者としてはどのようなサポートができるでしょうか。本記事では、サポートするに当たっての考え方を紹介します。
高校生が進路に悩むのは当たり前!
高校生が進路に悩むのは、進路選択について不安を感じているためです。
2021年の一般社団法人全国高等学校PTA連合会と、株式会社リクルートの合同調査である「高校生と保護者の進路に関する意識調査」によると、55%の高校生が「学力が足りないかもしれない」という不安を抱いています。
また、36%は「やりたいことが見つからない、わからない」35%は「自分に合っているものがわからない」と感じています。この結果から、高校生の大半が学力または将来に不安を抱えて悩んでいるということがわかるでしょう。
進路に悩んだらまず何をすべき?
進路に悩む高校生は、どのようなことをするべきでしょうか。学力が理由で悩んでいる場合は、悩みの原因が学力とはっきりしていることから、学力を伸ばすために塾に入るなどの具体的な行動に移れるでしょう。
しかし、将来像が思い浮かばずに悩んでいる場合だと、何をすべきかわからず行動しにくいものです。そこで、将来の姿が思い描けずに進路に悩んでいるときは、次のように考えてみましょう。
自己分析し、興味のある分野を調べる
まず取り組むべきなのは、自己分析して自分の興味のある分野を確認することです。
何の手がかりもなく「将来やりたいこと」を見つけるのは難しいことです。そこで「今やりたいこと」をヒントにして考えてみましょう。
また、考えることだけが自己分析ではありません。行動することも大切にしましょう。とくに、自分に合っているものがわからないという悩みを抱えている場合は、そもそもの経験が不足しているのかもしれません。
たとえば、スポーツの経験がない状態で、野球とサッカーのどちらが自分に合うかを答えられるでしょうか。
経験が多いほど自分の向き不向きも見えてくるので、自己分析に役に立つはずです。なお、進学情報サイトなどで自己分析の助けになる、適職診断や適学診断が受けられるので、参考にするのもよいでしょう。
将来に多くの可能性を残す
自己分析しても進路の決定にいたらない場合は、将来に多くの可能性を残せる進路を選ぶことをおすすめします。
進学する場合の基本的な選択肢としては、大学、短期大学、高等専門学校の3種類に分かれます。将来の可能性を広げるという観点からすると、大学を選ぶとよいでしょう。
その理由は、大学だけが唯一「大卒」の資格を得られる進学先だという点にあります。大卒を要件とする募集に対して、応募できるため選択肢が広がるのです。
また、大卒資格は収入を増やす点でも一定の価値があります。平成30年の厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、男女とも大学・大学院卒は、短期大学卒または高等専門学校卒よりも収入が高いという結果が出ています。
賃金のピークで比較すると、その違いは35%前後にもなるのです。また、働きがい研究所による「出身大学別年収ランキング2022」によると、偏差値の高い大学ほど年収が高い傾向が見られます。
将来に多くの可能性を残すという観点から考えると、得意な教科を活かして、偏差値の高い大学を目指すというのも1つの考え方です。
保護者ができるサポートとは
先に挙げた「高校生と保護者の進路に関する意識調査」での保護者にしてほしい行動・やめてほしい行動をもとに、高校生の子どもを持つ保護者は、どのようなサポートができるのかを考えてみましょう。また、保護者として控えるべき行動についても紹介します。
高校生が保護者にしてほしい行動・態度
意識調査によると、高校生が保護者に対して望んでいる行動の上位は、考えを尊重すること(36%)、暖かく見守ること(35%)、話をちゃんと聞くこと(33%)です。
これらの行動に共通する点は、積極的に進路のアドバイスをするわけでもなく、放っておくわけでもなく、本人の意思に寄り添うような態度といえます。
ただし、保護者の普段の態度によっては、別の対応を求められている場合があります。意識調査においては、保護者が干渉すると感じている層では「放っておいてくれる」が全体と比較して、10ポイント以上高いという結果でした。
反対に、保護者が無関心だと感じている層では「具体的にアドバイスする」「進路について関心を持っている」「進路について私よりも詳しく情報収集する」が全体と比較して、10ポイント以上高くなっています。
普段は積極的に関わっている保護者であれば一歩引き、あまり関心を見せていない保護者であれば、一歩踏み込んでみるなど、子どもとの関係によって、求められる役割が違う点にも注意しましょう。
高校生が保護者にやめてほしい行動・態度
やめてほしい行動・態度については「望みを高く持ちすぎないでほしい」が33%でもっとも高く、続いて「プレッシャーばかりかけないでほしい」「自分の考えを押しつけないでほしい」「勉強や成績の話ばかりするのはやめてほしい」がいずれも25%以上でした。
保護者が干渉すると感じている層では、これらすべての項目で全体より、10ポイント以上高い結果となっています。高望みやプレッシャー、考えの押しつけは、保護者として注意すべき行動といえるでしょう。
保護者が無関心だと感じている層では「好きなことをしなさいだけで終わらないでほしい」「お金の話ばかりするのはやめてほしい」が全体より10ポイント以上高い結果でした。
好きなことをしなさいというのは、本人の意思を尊重しているような言葉ですが、何が好きなのか、どのくらい好きなのかも聞かずに言ってしまうと、単なる無関心の表れになってしまいます。
将来の収入などのお金の話については、本人の考えを無視した話になってしまいがちです。
どちらもその話自体が悪いわけではなく、子どもの話をしっかり聞かずに言ってしまうことに問題があるだけです。自分から話をする前に、子どもの話を聞いてあげましょう。
まとめ
進路に悩む高校生が保護者に対して、どのようなサポートを求めているかをおわかりいただけたでしょうか。
大きな指標としては、普段から干渉しているのであれば消極的に、普段は無関心であれば積極的に、ちょうどよい距離感を保っているのであれば暖かく見守る、といった具合です。いずれの場合でも、本人の考えを尊重することは忘れないようにしてください。